「脳と心の神秘」を「脳と心の関係の神秘」という意味にとってよいなら、クオリア(感覚質)の問題こそ、その最たるものだろう。クオリア問題とは、たとえば「私の体験するこの赤い色の感覚質は、なぜ斯くのごとくなのか」という問題を指す。
クオリア問題は、本当にハードプロブレム(=科学の進歩で解け得ない問題)なのだろうか。ここでは心理物理学、神経科学における最近の瞠目すべき知見や現象―とりわけ知覚アウェアネスに関する行動、電気生理、神経病理の知見―を足がかりに、(1)クオリア問題が少なくとも部分的には擬制問題であること、(2)一枚岩のハードプロブレムに見えたものも、いくつかのイージープロブレムに分解し得るケースがあること、さらに(3)クオリアが解決不能な難問に見えた仕組みそのものも、生物学的/神経科学的/言語学的制約条件から了解可能であることを示したい。
12:30-13:00 受付
13:00-13:15 開催の辞
私たちが世界を見て、聴いて、触れる感覚(現象的意識)は如何なる神経メカニズムによって生じるのでしょうか?
本命題を科学的に問うにあたってその基礎となるいくつかの概念を紹介した後に、二つの意識のモデル「グローバルワークスペース」、「ダイナミックコア」を軸として、ここ20年の意識への実験的取り組みを紐解いていきます。さらには「生成モデル」と「意識の仮想現実メタファー」を結びつけることによって、意識を脳の計算理論によって扱うためのひとつの”叩き台”を用意します。
キーワード:13:15-14:15 事前知識レクチャー
14:15-16:15 グループ討論・演習
16:15-16:45 グループ発表
16:45-17:15 解説レクチャー
17:30-17:45 Satellite Discussion の出題(全日程を通した討論課題)
18:00-19:00 夕食
19:00-21:00 Welcome party
9:00- 10:00 事前知識レクチャー
10:00-12:00 グループ討論・演習
12:00-13:00 昼食
13:00-13:30 グループ発表
13:30-14:00 解説レクチャー
Follow-up lecture
もしあなたがgoogleのwebサイトに行ったなら、まず最初に目が向くのはgoogleのロゴでしょう。これは白地の画面にカラーのGoogleのロゴはほかのものよりも目立つようにデザインされているからです。つまり、私たちの注意は自然とそこに向けられる。このような、視覚刺激だけによって規定される注意のことをボトムアップ性注意と呼びます。
本講義ではこのようなボトムアップ性注意の計算論的モデルとして、南カリフォルニア大学のLaurent Ittiによるサリエンシー・マップおよびベイジアン・サプライズをソフトウェアを動かして実際に計算してもらいます。ボトムアップ性注意と意識とが乖離する例として知られるいくつかのillusionに関して、じっさいにサリエンシー・マップおよびベイジアン・サプライズを計算して検証するのがメインの作業になります。
この講義では意識はボトムアップ性注意とは別ものであり、計算論的にも異なるものであるということを強調します。では意識とはなんなのでしょうか? 意識の計算論的モデルというものは可能なのでしょうか? 可能だとしたらどういうものなのでしょうか? 本講義はこういった議論を深めることに使っていただきたいと考えております。
さらに詳しい説明を講演者のサイトに作成したのでそちらをぜひご覧ください:「ASCONE2010:注意の計算理論で盲視を調べる」
また、本講義で行う実習では、無料のソフトウエアをインストールして実行する過程があります。詳しい説明を同じサイトに記載しましたのでこちらもごらんになって、あらかじめ準備をしておいてください。実習当日にセットアップしてるとそれだけで実習が終わってしまいますので注意。
15:00-16:00 事前知識レクチャー
16:00-18:00 グループ討論・演習
18:00-19:00 夕食
19:00-19:30 グループ発表
19:30-20:00 解説レクチャー
21:00-24:00 ポスターセッション
私たちの見る外界の世界は,視覚系の働きによって脳内での情報表現に変換されます.そして,この表現に基づいて,視覚的意識が生じ,適切な行動が行われます.この情報表現とは,結局のところ,多数の神経細胞の電気的な活動でしかありません.では,神経細胞群の活動から,どのようにして個体の知覚判断は導かれるのでしょうか?本講義では,比較的単純な奥行き弁別課題を遂行中のサルの神経活動データを基に,この問題を考えます.
参考文献9:00- 10:00 事前知識レクチャー
10:00-12:00 グループ討論・演習
12:00-13:00 昼食
13:00-13:30 グループ発表
13:30-14:00 解説レクチャー
15:00-16:00 事前知識レクチャー
16:00-18:00 グループ討論・演習
演習は4つのグループに分かれて行います。それぞれ、以下の問題のひとつについて、知識とクリエイティビティーを総動員して考えてください。
単に、理論的に考えているだけでは答えのでない問題なので、これらの問題について具体的な実験を提案してください。また、最終的に面白い提案に繋がるのであれば、問題自体も遠慮なく変えてください。
問題1:これらの問題を考えるきっかけになる参考文献を以下に挙げるので、基本的な概念をできるだけ習得しておいてください。講義では、これらの参考文献の一部について解説をします。
18:00-19:00 夕食
19:00-19:30 グループ発表
19:30-20:00 解説レクチャー
21:00-24:00 ポスターセッション
9:00- 12:00
「脳と心の神秘」を「脳と心の関係の神秘」という意味にとってよいなら、クオリア(感覚質)の問題こそ、その最たるものだろう。クオリア問題とは、たとえば「私の体験するこの赤い色の感覚質は、なぜ斯くのごとくなのか」という問題を指す。
クオリア問題は、本当にハードプロブレム(=科学の進歩で解け得ない問題)なのだろうか。ここでは心理物理学、神経科学における最近の瞠目すべき知見や現象�とりわけ知覚アウェアネスに関する行動、電気生理、神経病理の知見�を足がかりに、(1)クオリア問題が少なくとも部分的には擬制問題であること、(2)一枚岩のハードプロブレムに見えたものも、いくつかのイージープロブレムに分解し得るケースがあること、さらに(3)クオリアが解決不能な難問に見えた仕組みそのものも、生物学的/神経科学的/言語学的制約条件から了解可能であることを示したい。
12:00-13:00 昼食
13:00-14:00 発表準備
14:00-14:30 グループ発表
14:30-16:00
今日の脳科学のレベルでは難攻不落とも言える「意識の神経メカニズム」にすこしでも迫るために、どのようなモデルが考えられるか?そこからいかなる視点、そして検証実験が生まれるか?その限界とは何か?。講義タイトルは私なりの立ち位置ですが、それにとらわれずに本スクールの集大成として、豪華講師陣含め参加者のみなさんと徹底的に議論させてください。
解散