ASCONE 「脳科学への数理的アプローチ」

脳を数理で解き明かそう 〜実験的アプローチとの融合〜

脳の世界の謎は、人類の英知に最後に残された大きな砦です。 この数十年で、脳の中を観測する技術は飛躍的に進歩してきました。 しかし、実験的観測だけではどうにもならない謎が脳にはあります。 この謎を解く鍵となるのは、 物理学や情報学の世界で力を発揮してきた数理的アプローチです。 数理的アプローチによる脳の理解の一端を経験しながら、 脳科学への扉を開いてみましょう。

ASCONE WEBページはhttp://ascone.brainsci.net/に移動しました。
これまでにASCONEに参加したたくさんの方々が、脳科学の分野で若手のホープとして活躍しています。
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ASCONEの参加者たちが立ち上げた脳科学若手の会は、脳科学分野に多大な貢献をしています。
若手の会もASCONEも利用してつながりを築き、未来につなげましょう。
 
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Poster
 

日本神経回路学会 オータムスクール

ASCONE2017 『脳のリズム』

Autumn School for Computational Neuroscience

2017年11月3日(金・祝)〜 2017年11月6日(月) かたくら諏訪湖ホテル(JR上諏訪駅 徒歩10分)

ポスター(JPG:5MB) 応募サイト

講師

Lecture I: 『ヒト脳の振動同期ダイナミクスの操作的機能研究』

北城 圭一 (理化学研究所 脳科学総合研究センター)

ベルガーが約100年前にヒトの脳波のリズム現象を発見して以来、ヒトの脳について、脳波や脳磁図で計測した振動同期関連のダイナミクスについての研究が行われてきました。しかしこれらのダイナミクス機能的意義についての結論はまだまだついていません。本講義では健常者での多様なリズムダイナミクスについての神経相関研究、及び、脳卒中患者等の病態データ解析研究を紹介し、さらにTMS,tACSなどの脳刺激手法を用いた操作的研究を紹介します。これらを元に脳のリズム現象に関するヒトの脳機能の研究の新たな方向性について議論を行います。

Lecture II: 『海馬の神経回路計算におけるオシレーションの役割』

藤澤 茂義 (理化学研究所 脳科学総合研究センター)

海馬は、エピソード記憶や空間認識を司っている脳部位です。海馬がこれらの脳機能を実行するとき、神経活動のオシレーションが重要な役割を果たしていることが知られています。とくに海馬では、脳の状態(brain state)に応じて theta wave(7-11Hz)や ripple wave(150-250Hz)など異なった周波数帯域のオシレーションが自己組織的に形成され、それぞれ異なった機能を果たしています。今回の講演では、海馬の神経回路計算におけるオシレーションの役割について、神経生理学的観点から議論していきます。

Lecture III: 『リズム間の関係性を見る』

青柳 富誌生 (京都大学大学院 情報学研究科)

脳の活動を計測すると、ニューロンから全脳までさまざまなレベルでリズムを伴った神経活動が見られ、高次機能と関係がある実験的示唆も多数報告されています。一方で、リズム活動を生成してる実体は、多くの場合膨大なニューロンが複雑にネットワークを構成した系であり、具体的な数理モデルを構築することは一般に困難です。このため、そのようなリズミックな神経活動を数理モデルで研究する場合に、本質を見抜く直感やセンスの良いモデリング能力に頼っているのが実情です。
 一方、非線形力学系の理論では、散逸力学系で生成されるリズムは、共通の数理的枠組み(位相振動子の相互作用ネットワークの微分方程式系)により統一的に記述出来ることが知られています。この事実から、位相振動子モデルを最初から仮定して、実験データの時系列をできるだけうまく説明出来るような具体的な形を求めるという方針が考えられます。講義では、上記で説明したリズムに関する理論的な基礎を解説し、さらに統計科学の知見を活用することで、データから位相振動子モデルを推定することが現実的な状況で可能になる例を示し、神経系のリズムに関するデータ駆動型の研究の可能性を示します。

Lecture IV: 『身体性とリズム』

我妻 広明 (九州工業大学大学院 生命体工学研究科)

指振りで知られる脳身体系のリズム(Kelso, 1983)は、グローバルエントレインメント(GE)と呼ばれる状態空間上に観測される大域的リミットサイクル生成のダイナミクスとして理解できます。身体制御における安定性においても、同様のダイナミクスが得られ、多賀らの二足歩行運動の神経筋骨格系モデル(Taga et al., 1991)がよく知られています。ここで示されたことは、適応的歩行パターン生成は、非線形振動子のネットワークを制御器、筋骨格系を被制御器として定式化でき、実際に振動子系がGEの中心的役割となり安定性に寄与することです。これまで、制御器である非線形振動子の配置・結合・内部特性は力学系の観点から様々検討されてきたものの、被制御器とした筋骨格系自体が自律系で周期や位相の状態空間を有することはあまり議論されてきませんでした(Komoda & Wagatsuma, 2015)。リハビリテーションや支援具の有効性検証、障がい者スポーツのダイナミクスなど、身体各部の自由度の過不足について言及すれば、単純化した連結剛体の開リンクモデルは不十分であり、骨格同士の関係や接地によって閉リンクとなる拘束系や、腱・筋・靭帯の弾性特性により得られる振動特性の数理化に踏み込む必要があります。従来から用いられてきたニュートン=オイラー法による個別方程式の組合せだけでは、方程式追記が容易であるもの全体的な見通しが得られにくいという難点がありました。ここでは、生理学を反映した微細モデルに過度に立ち入らずに、ダイナミクスに主軸を置きつつ、状態空間の全体様相の分析を容易にする方法として、局所座標系と全体座標系を統合的に扱う一般化座標を導入したマルチボディダイナミクス(MBD)を取り扱います。汎用型運動方程式を微分代数方程式(ヤコビ行列)として扱うMBDの基礎から発展を議論し、制御器としての非線形振動子と融合解析する手法を試みます。

Lecture V: 『脳波のリズム異常と制御』

栁澤 琢史 (大阪大学 国際医工情報センター)

脳波や脳磁図は神経細胞の膜電位変化の総和として計測される比較的マクロな振動現象です。そのリズムの特徴と病的状態との関係については、様々な研究がなされてきました。脳波のリズムの異常は病的活動状態の指標となるだけではなく、病気の原因の一つであるとも考えられます。本講義では脳波におけるPhase-Amplitude Couplingに注目し、生理的活動における機能的役割と、その異常としてのパーキンソン病との関係などについて紹介します。また、脳波をDecodingすることで脳情報を抽出し、これを用いたニューロフィードバックによって脳波を修飾することで、脳の機能を修飾する試みについて紹介します。脳波で捉える脳のマクロなリズム現象と、脳の病気との間の因果関係について議論します。

Lecture VI: 『大脳基底核機能とその破綻:神経活動の異常リズムは何を意味するのか?』

橘  吉寿 (神戸大学大学院 医学研究科)

運動発現に不可欠な神経基盤として、脊髄ならびに大脳皮質運度野が真っ先に挙げられます。また、これらの運動発現をより巧緻なものとする脳構造として、小脳ならびに大脳基底核の存在が古くから知られています。特に演者がこれまで研究対象としてきた大脳基底核は、その機能異常によりパーキンソン病・ジストニア・バリスムといった重篤な運動疾患が生じることからも、運動発現に大きく関与することが容易に想像できます。大脳基底核は、線条体・視床下核・淡蒼球・黒質という複数の核から成る複合体であり、大脳皮質から入力を受け、視床へ投射し、再度大脳皮質に戻るといったループ回路を形成しています。また、大脳基底核内において、それぞれの構成核が相互に神経連絡を持ち、非常に精密な局所回路を形成しています。本講義では、大脳基底核の解剖学的な神経連絡、それを基とする運動発現機構をまず説明します。続いて、パーキンソン病・ジストニア・バリスムといった大脳基底核疾患にみられる大脳基底核内の異常リズム活動とそれを形成するメカニズムについて考えていきます。さらには、情動・認知といった高次脳機能を担う大脳基底核神経回路の律動的活動についても考察を加えます。

講義形式

1講師1トピックについて、以下のスケジュールで行っていきます。
  1. 「基礎講義」(約1時間)
    問題意識までの導入を行います。 例えば、不思議な脳の現象などを紹介し、 その問題を考えるための材料を提供します。
  2. 「グループ討論」(約2〜3時間)
    小グループに分かれて、提示された問題について自ら考えながら、 チューター、講師らと共に討論します。 最終的にそのグループの意見として全体に発表できるように、 意見をまとめていきます。
  3. 「グループ発表」(約30分)
    各グループで行った討論の結果を代表者が全体に発表します。
  4. 「発展講義」(約30分)
    講師による解説を行います。

対象:脳科学の数理的アプローチに興味を持っている方

大学院進学を考えている学部学生、大学院生、ポスドク研究員など。
 
定員:20名程度(応募者多数の場合、応募資料により審査を行います)
 
注: 既に数理的アプローチで脳研究を行っている方には、 チューターをお願いするかもしれません。

参加費無料(合宿形式;全日程参加可能な方限定)

応募日程

応募方法

以下の情報を応募サイトで登録していただきます。
  1. 氏名・所属・連絡先等  
  2. 脳に対する興味を1000字程度でまとめた文章
    • 興味のある脳の現象を具体的に挙げ、自分の考えを述べてください。
    • 事前知識の量は問いません。 専門的でなくても、身近な話題で構いません。 脳に対する興味の強さと論理的な文章力を審査の対象とします。
    • 氏名・所属を伏せて審査します。 この文章中には、 個人が特定できるような人間関係などの情報を記載しないでください。
 
 
 
個人情報の取り扱いについて
  • ASCONEに関する諸連絡(審査結果、案内など)に用います。
  • E-mailには、次年度以降のASCONEのご案内を送信させて頂くことがあります。
  • ASCONE応募者ならば興味の持ちそうであると我々運営委員が判断した場合、 研究会などの案内を転送する場合があります。
  • 以上の送信停止希望はいつでも承ります。
以上のことを同意の上、ご応募ください。

運営

鮫島 和行(玉川大学 脳科学研究所)
酒井 裕 (玉川大学 脳科学研究所)
田中 宏和(北陸先端科学技術大学院大学)
筒井健一郎(東北大学 生命科学研究科)
山本 慎也(産業技術研究所)
渡辺 正峰(東京大学 工学系研究科)

顧問

丹治 順 (東北大学包括的脳科学研究・教育推進センター)
銅谷 賢治(沖縄科学技術大学院大学)

主催

日本神経回路学会

共催

新学術領域研究(文部科学省 科学研究費補助金) CREST(JST 戦略的創造研究推進事業)