Lecture I | 『主観的に体験される時間と客観的に観察可能な脳内の神経活動の時間の関係を考える』 | |
講師:西田 眞也(NTTコミュニケーション科学基礎研究所) | ||
Lecture II | 『数理が指し示す脳内時間の謎』 | |
講師:酒井 裕 (玉川大学 脳科学研究所) | ||
Lecture III | 『報酬予測に基づく意思決定と学習、そこにおける時間の役割』 | |
講師:中原 裕之(理化学研究所 脳科学総合研究センター) | ||
Lecture IV | 『計時と予測の神経機構』 | |
講師:田中 真樹(北海道大学大学院 医学研究科) | ||
Lecture V | 『神経回路で時間を表現するには?』 | |
講師:山崎 匡 (電気通信大学大学院 情報理工学研究科) | ||
Lecture VI | 『こころの「現在」の科学』 | |
講師:北澤 茂 (大阪大学大学院 生命機能研究科) | ||
12:30- 受付 (昼食を済ませてから集合してください)
13:00-13:15 開催の辞
概要:外界で二つのイベントがある順番で知覚されたと観察者が報告したとき、脳の中では何が起こっているのだろうか。それぞれのイベントによって誘発された脳内信号から、脳はどのようにイベントの時間関係を計算するのだろうか。さまざまな心理現象から、主観的な時間が脳内の神経活動の時間構造を直接反映したものでは無いことが分かってくる。
13:15-14:15 基礎講義 14:15-16:15 グループ討論 |
討論課題:
ある時間順序判断の心理実験で、t=0に光フラッシュを、t=+50msに音クリックを提示したとき、観察者は音クリックが先に提示されたと回答したとします。このような光と音のイべントの知覚が観察者の脳内に成立した物理的な時間を測定する実験方法を提案して下さい。
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16:15-16:45 グループ発表 16:45-17:15 発展講義 |
18:00-19:00 夕食
19:00-21:00 Welcome party
21:00-24:00 Poster Session
Lecture II 『数理が指し示す脳内時間の謎』講師:酒井 裕 (玉川大学 脳科学研究所) |
脳内の時間特性は、私たちが常日頃から身近に経験しているが故に、様々な行動実験が明らかにする特性を一見当たり前に思えてしまう。しかし、そのような行動を実現する脳内の計算を数理的に表現しようと試みると、不思議な特性であることが浮かび上がることがある。この講義では、タイミング予測や時間再生課題などにおける時間の長さと誤差との関係(Weber則)と、将来報酬の価値付けに関わる時間割引特性に焦点を絞り、脳内時間の不思議を解説し、そのメカニズムの可能性を一緒に考えたい。
9:00 - 10:00 基礎講義
10:00-12:00 グループ討論
12:00-13:00 昼食
13:00-13:30 グループ発表
13:30-14:00 発展講義
講師:中原 裕之(理化学研究所 脳科学総合研究センター) |
ASCONEの今年のテーマである「脳内時間」について、価値意思決定における時間の役割の視点から考える。この約20年の間、報酬や利得などの予測、つまり「価値」に基づく意思決定(価値意思決定)の脳情報処理の解明には大きな進展があり、脳計算モデルが最も活躍している分野である。その数理的な基礎は、マルコフ過程における逐次選択のオンライン学習理論(強化学習)である。この強化学習理論の枠組みにおける「時間」が脳内時間とどう関連づくのかについて一緒に考えたい。
15:00-16:00 基礎講義
16:00-18:00 グループ討論
18:00-19:00 夕食
19:00-19:30 グループ発表
19:30-20:00 発展講義
21:00-24:00 ポスターセッション
Lecture IV 『計時と予測の神経機構』講師:田中 真樹(北海道大学大学院 医学研究科) |
時間の情報は日常生活に不可欠である。とくに、行動制御に必要となる数百ミリから数秒の時間知覚には、大脳に加えて皮質下の大脳基底核、小脳が関与すると考えられている。本講義では、脳がどのように時間を表現していると考えられているか概説し、実際にサルが時間経過をモニターし、視覚刺激のタイミングを予測している際の脳各部の神経活動を紹介する。これらを通じ、今後の研究の展開について議論したい。
9:00 - 10:00 基礎講義
10:00-12:00 グループ討論
12:00-13:00 昼食
13:00-13:30 グループ発表
13:30-14:00 発展講義
Lecture V 『神経回路で時間を表現するには?』講師:山崎 匡 (電気通信大学大学院 情報理工学研究科) |
およそあらゆる感覚にはその元となる物理的対象があり、処理する器官があり、それを表現する脳部位が存在する。例えば視覚においては物体に反射した光であり、眼球であり、第一次視覚野においてエッジとして表現される。同様に聴覚においては空気の振動であり、鼓膜と蝸牛であり、第一次聴覚野において周波数成分として表現される。それに比べて時間感覚というのは、具体的な物理対象があるわけでも、それを処理する特別な器官があるわけでもなく、むしろ内的な概念のような存在に思える。そのような得体の知れないものを脳がどのように表現しているかは未だ謎であるが、理論は、特に時間を表現する神経回路モデルはこれまでに多数提案されてきた。本講義ではそれらのモデルとそのモデルの元になった様々な過去の実験について紹介し、そのモデルの背景にある原理について議論する。
15:00-16:00 基礎講義
16:00-18:00 グループ討論
18:00-19:00 夕食 19:00-19:30 グループ発表 19:30-20:00 発展講義 |
21:00-24:00 ポスターセッション
Lecture VI 『こころの「現在」の科学』講師:北澤 茂 (大阪大学大学院 生命機能研究科) |
私たちが共有する現在・過去・未来に関する時間の意識を「こころの時間」と呼ぶことにしよう。こころの「過去」や「未来」は大きな時間の幅を持っている。それに引き換えこころの「現在」の時間幅は短い。しかし、物理学の「現在」とは異なり、ある程度の幅を持っている。こころの「現在」の幅はどれくらいあるのだろうか。また脳はどのようにして、こころの「現在」を構築しているのだろうか。1秒以内の短い時間帯で生じる錯覚を手がかりに、こころの「現在」構築のメカニズムについて考察してみたい。
9:00 -10:30 基礎講義
10:30-12:30 グループ討論
12:30-13:30 昼食 13:30-14:00 グループ発表 14:00-15:00 発展講義 |
15:00 - 16:00
解散