ASCONE 「脳科学への数理的アプローチ」

脳を数理で解き明かそう 〜実験的アプローチとの融合〜

脳の世界の謎は、人類の英知に最後に残された大きな砦です。 この数十年で、脳の中を観測する技術は飛躍的に進歩してきました。 しかし、実験的観測だけではどうにもならない謎が脳にはあります。 この謎を解く鍵となるのは、 物理学や情報学の世界で力を発揮してきた数理的アプローチです。 数理的アプローチによる脳の理解の一端を経験しながら、 脳科学への扉を開いてみましょう。

これまでにASCONEに参加したたくさんの方々が、脳科学の分野で若手のホープとして活躍しています。
2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 同窓会 2016 2017 2018
 
ASCONEの参加者たちが立ち上げた脳科学若手の会は、脳科学分野に多大な貢献をしています。
若手の会もASCONEも利用してつながりを築き、未来につなげましょう。
 
参加者からのメッセージ 2013 2014 2015 2016 2017 2018
 
 
 
Poster
 

日本神経回路学会 オータムスクール

ASCONE2019 『脳科学と数理の未来』

Autumn School for Computational Neuroscience

2019年11月8日(金)〜 2019年11月11日(月) 諏訪レイクサイドホテル(JR上諏訪駅 シャトルバス10分)

ポスター(JPG:5MB) 応募サイト

講師

Lecture I: 『脳は本質的に複雑だろうか』

平 理一郎 (UC Santa Barbara)

Lecture II: 『エピソード記憶をつくる神経回路の考察』

佐々木 拓哉 (東京大学大学院 薬学系研究科)

Lecture III:

寺島 裕貴 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所)

Lecture IV: 『フリーエナジークリーチャーズ〜目指せベイズ最適〜』

磯村 拓哉  (理化学研究所 脳神経科学研究センター)

Lecture V:

瀧山 健 (東京農工大学大学院 工学研究院)

Lecture VI: 『知覚・認知と運動の相互作用:どこに研究のポイントがあるのか?』

羽倉 信宏 (脳情報通信融合研究センター)

講義形式

1講師1トピックについて、以下のスケジュールで行っていきます。
  1. 「基礎講義」(約1時間)
    問題意識までの導入を行います。 例えば、不思議な脳の現象などを紹介し、 その問題を考えるための材料を提供します。
  2. 「グループ討論」(約2〜3時間)
    小グループに分かれて、提示された問題について自ら考えながら、 チューター、講師らと共に討論します。 最終的にそのグループの意見として全体に発表できるように、 意見をまとめていきます。
  3. 「グループ発表」(約30分)
    各グループで行った討論の結果を代表者が全体に発表します。
  4. 「発展講義」(約30分)
    講師による解説を行います。

11月8日

12:30- 受付 (昼食を済ませてから集合してください)

13:00-13:15 開催の辞

Lecture I: 『脳は本質的に複雑だろうか』

平 理一郎 (UC Santa Barbara)

このLectureは次のような2部構成とします。第一部では覚醒動物における大規模神経活動記録の現在と今後の技術的見通しを述べます。特に2光子多細胞カルシウムイメージングについての技術と情報科学的課題について紹介します。第二部では、莫大な数の神経細胞活動を同時計測することで、脳の計算原理が理解できる見通しがあるかについて問います。そもそも、脳は数理的な原理や法則で理解しようとすることで本質に近づくことができる対象なのでしょうか。ここでは「本質的に複雑なシステム」という概念を導入することでこうした問題に対して思考を深めていきます。

グループ討論 では次の2つを議題とします。まず第一部に関して、脳の複雑な活動の全体を理解するためにはどのように神経細胞活動を記録する必要があるのかを考えていただきたいと思います。ここでは当然、「全体」や「理解」という語が未定義です。そして第二部に関しては、脳が本質的に複雑なシステムかどうかについて、またその理由について、さらにそうしたシステムの固有性について自由に思いを巡らせて欲しいと考えています。挑発的なアイデアを期待します。

18:00-19:00 夕食

19:00-21:00 Welcome party

21:00-24:00 Poster Session

11月9日

Lecture II: 『エピソード記憶をつくる神経回路の考察』

佐々木 拓哉 (東京大学大学院 薬学系研究科)

エピソード記憶は、時間や場所の情報を含む陳述記憶です。エピソード記憶があるからこそ、私たちは思い出を作ることができ、一人一人の人格の形成にも役立ちます。こうした記憶は神経回路に起因することは間違いありませんが、その全貌は現代の神経科学を以ってしても、未解明の部分が多く残されています。本講義では、私たちの日常生活にあふれる記憶が、どのような神経回路の演算によって実現されているか、皆さんで考えてみたいと思います。細かい知識を勉強するだけでなく、多少間違っていても大胆な発想が生み出されるような場になればと考えています。このように脳特有の記憶メカニズムを考察することは、機械による記録や情報処理との違いをあらためて認識することにもつながり、今後の機械学習の研究にも新たな示唆を与えてくれるものと期待します。

21:00-24:00 ポスターセッション

11月10日

Lecture IV: 『フリーエナジークリーチャーズ〜目指せベイズ最適〜』

磯村 拓哉  (理化学研究所 脳神経科学研究センター)

このワークショップでは、自由エネルギー原理(free-energy principle)に従う極々単純な人工生命”フリーエナジークリーチャー”のシミュレーションを教材とし、参加者の手で最適化したクリーチャー同士を勝負させていただきます。自由エネルギー原理はKarl Friston氏により提唱された、シンプルな法則により生物の知能を数理的かつ統一的に説明するための理論です[1]。この理論は、感覚入力のサプライズを最小化するように神経活動・シナプス結合・行動方策を最適化することで、生物はベイズ最適な推論・予測・意思決定を実行するとしています。講義では、自由エネルギー原理の数理的基礎および生物の脳・ニューラルネットが原理をどのように実装していそうかについて学んでいただきます。特に環境が離散状態空間である場合には、標準的なニューラルネットが何らかのコスト関数に基づいて適応・最適化を行うことは、暗に自由エネルギー原理に従っていることと等価であることを解説します[2]。グループワークでは、配布する雛形を基に、班ごとにクリーチャーのニューラルネットを改良して、外界の認識・予測および行動戦略を最適化してもらいます。そして、どのような方針で改良したかを成果発表した後、各班のクリーチャー同士を勝負させます。

参考文献
[1]Friston, K. (2010). The free-energy principle: a unified brain theory?. Nature Reviews Neuroscience, 11, 127–138.
[2] Isomura, T. & Friston, K. (2019). Reverse engineering neural networks to characterise their cost functions. bioRxiv:654467.
日本語解説「自由エネルギー原理の解説:知覚・行動・他者の思考の推論」

11月11日

Lecture VI: 『知覚・認知と運動の相互作用:どこに研究のポイントがあるのか?』

羽倉 信宏 (脳情報通信融合研究センター)

神経科学分野においても、心理学分野においても、運動制御の研究と、感覚知覚・認知の研究は、 別分野の、脳の別領域の研究として行われてきました。その結果、感覚・知覚と運動は直列的な関係であり、 運動は高次の判断をただ単に外界に表現するためのもの、という形でとらえられてきました。 しかし、外界の認識と運動行為が密接に関与することは自明であり、 両者が相互に影響を及ぼしあうという研究結果が近年、蓄積されつつあります。 例えば、視覚と体性感覚は入力チャネルは独立していますが、統合されています。 では、運動と感覚の関係も、結局は多感覚統合と同じフレームワークの話なのでしょうか? それとも、何か根本的に異なる相互作用形式が存在するのでしょうか? 本レクチャー、およびグループ討論では、上記の点について一緒に考えていきましょう。

対象:脳科学の数理的アプローチに興味を持っている方

大学院進学を考えている学部学生、大学院生、ポスドク研究員など。
 
定員:20名程度(応募者多数の場合、応募資料により審査を行います)
 
注: 既に数理的アプローチで脳研究を行っている方には、 チューターをお願いするかもしれません。

受講者 参加費無料(合宿形式;全日程参加可能な方限定)

応募日程

応募方法

以下の情報を応募サイトで登録していただきます。 以下の情報を応募サイトで登録していただきます。
  1. 氏名・所属・連絡先等  
  2. 脳に対する興味を1000字程度でまとめた文章
    • 興味のある脳の現象を具体的に挙げ、自分の考えを述べてください。
    • 事前知識の量は問いません。 専門的でなくても、身近な話題で構いません。 脳に対する興味の強さと論理的な文章力を審査の対象とします。
    • 氏名・所属を伏せて審査します。 この文章中には、 個人が特定できるような人間関係などの情報を記載しないでください。
 
 
 
個人情報の取り扱いについて
  • ASCONEに関する諸連絡(審査結果、案内など)に用います。
  • E-mailには、次年度以降のASCONEのご案内を送信させて頂くことがあります。
  • ASCONE応募者ならば興味の持ちそうであると我々運営委員が判断した場合、 研究会などの案内を転送する場合があります。
  • 以上の送信停止希望はいつでも承ります。
以上のことを同意の上、ご応募ください。

運営

鮫島 和行(玉川大学 脳科学研究所)
酒井 裕 (玉川大学 脳科学研究所)
田中 宏和(北陸先端科学技術大学院大学)
筒井健一郎(東北大学 生命科学研究科)
山本 慎也(産業技術研究所)
渡辺 正峰(東京大学 工学系研究科)

主催

日本神経回路学会

共催

新学術領域研究(文部科学省 科学研究費補助金)