12:00- 受付 (昼食を済ませてから集合してください)
13:00-13:15 開催の辞
ベルガーが約100年前にヒトの脳波のリズム現象を発見して以来、ヒトの脳について、脳波や脳磁図で計測した振動同期関連のダイナミクスについての研究が行われてきました。しかしこれらのダイナミクス機能的意義についての結論はまだまだついていません。本講義では健常者での多様なリズムダイナミクスについての神経相関研究、及び、脳卒中患者等の病態データ解析研究を紹介し、さらにTMS,tACSなどの脳刺激手法を用いた操作的研究を紹介します。これらを元に脳のリズム現象に関するヒトの脳機能の研究の新たな方向性について議論を行います。
13:15-14:15 基礎講義 14:15-16:15 グループ討論 |
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16:15-16:45 グループ発表 16:45-17:15 発展講義 |
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18:00-19:00 夕食
19:00-21:00 Welcome party
21:00-24:00 Poster Session
海馬は、エピソード記憶や空間認識を司っている脳部位です。海馬がこれらの脳機能を実行するとき、神経活動のオシレーションが重要な役割を果たしていることが知られています。とくに海馬では、脳の状態(brain state)に応じて theta wave(7-11Hz)や ripple wave(150-250Hz)など異なった周波数帯域のオシレーションが自己組織的に形成され、それぞれ異なった機能を果たしています。今回の講演では、海馬の神経回路計算におけるオシレーションの役割について、神経生理学的観点から議論していきます。
9:00 - 10:00 基礎講義
10:00-12:00 グループ討論
12:00-13:00 昼食
13:00-13:30 グループ発表
13:30-14:00 発展講義
脳の活動を計測すると、ニューロンから全脳までさまざまなレベルでリズムを伴った神経活動が見られ、高次機能と関係がある実験的示唆も多数報告されています。一方で、リズム活動を生成してる実体は、多くの場合膨大なニューロンが複雑にネットワークを構成した系であり、具体的な数理モデルを構築することは一般に困難です。このため、そのようなリズミックな神経活動を数理モデルで研究する場合に、本質を見抜く直感やセンスの良いモデリング能力に頼っているのが実情です。
一方、非線形力学系の理論では、散逸力学系で生成されるリズムは、共通の数理的枠組み(位相振動子の相互作用ネットワークの微分方程式系)により統一的に記述出来ることが知られています。この事実から、位相振動子モデルを最初から仮定して、実験データの時系列をできるだけうまく説明出来るような具体的な形を求めるという方針が考えられます。講義では、上記で説明したリズムに関する理論的な基礎を解説し、さらに統計科学の知見を活用することで、データから位相振動子モデルを推定することが現実的な状況で可能になる例を示し、神経系のリズムに関するデータ駆動型の研究の可能性を示します。
15:00-16:00 基礎講義
16:00-18:00 グループ討論
データの信号源が結合位相振動子系と仮定した相互作用関数の推定において下記のことを考えよう。
18:00-19:00 夕食
19:00-19:30 グループ発表
19:30-20:00 発展講義
21:00-24:00 ポスターセッション
指振りで知られる脳身体系のリズム(Kelso, 1983)は、グローバルエントレインメント(GE)と呼ばれる状態空間上に観測される大域的リミットサイクル生成のダイナミクスとして理解できます。身体制御における安定性においても、同様のダイナミクスが得られ、多賀らの二足歩行運動の神経筋骨格系モデル(Taga et al., 1991)がよく知られています。ここで示されたことは、適応的歩行パターン生成は、非線形振動子のネットワークを制御器、筋骨格系を被制御器として定式化でき、実際に振動子系がGEの中心的役割となり安定性に寄与することです。これまで、制御器である非線形振動子の配置・結合・内部特性は力学系の観点から様々検討されてきたものの、被制御器とした筋骨格系自体が自律系で周期や位相の状態空間を有することはあまり議論されてきませんでした(Komoda & Wagatsuma, 2015)。リハビリテーションや支援具の有効性検証、障がい者スポーツのダイナミクスなど、身体各部の自由度の過不足について言及すれば、単純化した連結剛体の開リンクモデルは不十分であり、骨格同士の関係や接地によって閉リンクとなる拘束系や、腱・筋・靭帯の弾性特性により得られる振動特性の数理化に踏み込む必要があります。従来から用いられてきたニュートン=オイラー法による個別方程式の組合せだけでは、方程式追記が容易であるもの全体的な見通しが得られにくいという難点がありました。ここでは、生理学を反映した微細モデルに過度に立ち入らずに、ダイナミクスに主軸を置きつつ、状態空間の全体様相の分析を容易にする方法として、局所座標系と全体座標系を統合的に扱う一般化座標を導入したマルチボディダイナミクス(MBD)を取り扱います。汎用型運動方程式を微分代数方程式(ヤコビ行列)として扱うMBDの基礎から発展を議論し、制御器としての非線形振動子と融合解析する手法を試みます。
9:00 - 10:00 基礎講義
10:00 - 12:00 グループ討論
蔵本モデルのシミュレーションをして、結合を変えると何が起こるか、なぜそれが起こるのかを考えよう。
12:00-13:00 昼食
13:00-13:30 グループ発表
13:30-14:00 発展講義
脳波や脳磁図は神経細胞の膜電位変化の総和として計測される比較的マクロな振動現象です。そのリズムの特徴と病的状態との関係については、様々な研究がなされてきました。脳波のリズムの異常は病的活動状態の指標となるだけではなく、病気の原因の一つであるとも考えられます。本講義では脳波におけるPhase-Amplitude Couplingに注目し、生理的活動における機能的役割と、その異常としてのパーキンソン病との関係などについて紹介します。また、脳波をDecodingすることで脳情報を抽出し、これを用いたニューロフィードバックによって脳波を修飾することで、脳の機能を修飾する試みについて紹介します。脳波で捉える脳のマクロなリズム現象と、脳の病気との間の因果関係について議論します。
14:30-16:00 講義
16:00-18:00 グループ討論
脳のリズム異常は疾患と関連している。 脳のリズム異常は病気の原因か、結果か? 脳波を変えれば病気が良くなるか?
18:00-19:00 夕食
19:00-19:30 グループ発表
20:00-24:00 ポスターセッション
運動発現に不可欠な神経基盤として、脊髄ならびに大脳皮質運度野が真っ先に挙げられます。また、これらの運動発現をより巧緻なものとする脳構造として、小脳ならびに大脳基底核の存在が古くから知られています。特に演者がこれまで研究対象としてきた大脳基底核は、その機能異常によりパーキンソン病・ジストニア・バリスムといった重篤な運動疾患が生じることからも、運動発現に大きく関与することが容易に想像できます。大脳基底核は、線条体・視床下核・淡蒼球・黒質という複数の核から成る複合体であり、大脳皮質から入力を受け、視床へ投射し、再度大脳皮質に戻るといったループ回路を形成しています。また、大脳基底核内において、それぞれの構成核が相互に神経連絡を持ち、非常に精密な局所回路を形成しています。本講義では、大脳基底核の解剖学的な神経連絡、それを基とする運動発現機構をまず説明します。続いて、パーキンソン病・ジストニア・バリスムといった大脳基底核疾患にみられる大脳基底核内の異常リズム活動とそれを形成するメカニズムについて考えていきます。さらには、情動・認知といった高次脳機能を担う大脳基底核神経回路の律動的活動についても考察を加えます。
9:00 - 10:00 基礎講義
10:00 - 12:00 グループ討論
大脳皮質ー大脳基底核回路には、 運動ループの他にも、認知機能・情動機能に関する ループ回路が存在する。
考えてみよう。
討論課題2:大脳基底核のリズムは一体何を意味しているのか? さらに踏み込んで、大脳基底核が存在する意味は 何であるのか?
12:00-13:00 昼食
13:00-14:00 グループ発表
14:00-15:00 発展講義
解散