このASCONEや、その前身のNISS、さらに システム神経生物学スプリングスクール(SNSS) の参加者たちがJNNS2015に集まり、若手スクールの経験を生かして活躍している現在の状況を報告し合いながら、交流を温め、研究成果を発表しました。
大脳新皮質は多様な機能を呈す一方で共通の解剖学的構造を持ち、何らかの計算原理の存在が示唆されてきた。しかし今なお、原理の理解に程遠いのはなぜだろうか。本発表では、その本質的な壁が機能の領野間比較困難性にあることを指摘し、解決の方向性を議論する。
Activity patterns of neural population are partially characterized by statistical dependencies among groups of neurons larger than two, known as higher-order interactions (HOIs). Here, we report that simultaneous silence (SS) of neurons concisely summarizes neural HOIs. The structured HOIs predicted by SS were also observed in a simple neural population model, suggesting that SS is a ubiquitous feature of HOIs that constrain neural activity patterns.
本研究ではfMRIデータに有効な新しい判別アルゴリズムを提案する。fMRI decodingでは特徴量の自由度(ボクセル数:数万)に対して、観測数(試行数:数十〜数百)が非常に小さくover-fittingに陥りやすい。少数の必要なボクセルを自動的に選択し効果的にover-fittingを回避できる方法が提案されている (SLR, Yamashita et al., 2008)。しかしSLRは多くの情報を持つボクセルも捨ててしまうという弱点がある。この問題をアンサンブル学習で解決したIterative SLR (iSLR)では、SLRにより捨てられたボクセルを使って、再度判別器学習を行う。これを繰り返し、精製された複数のSLR学習の結果を統合する。
ポスターにてiSLRがover-fitting、over-pruningに強いというシミュレーション結果と、実データに適用した例を示す。
iSLRを含むfMRI classificationのためのMATLABツールボックスを公開しています。
動物の様々な学習行動は,これまで主にパブロフ条件づけやインストゥルメンタル条件づけの手続きを用いた実験で観測されてきた.この2種類の条件づけは異なる分野として位置づけられ,それぞれの現象を説明する計算論モデルは個別に提案されてきた.そのゆえ,2つの条件づけ間で影響を与え合う現象は再現できないのが現状である.本研究で我々は,パブロフ条件づけの計算論モデルであるレスコーラ-ワグナーモデルをインストゥルメンタル条件づけに拡張することで,2つの条件づけを統一的に説明できるような計算論モデルを提案した.そして提案モデルが,パブロフ条件づけの学習結果がインストゥルメンタル条件づけで形成された行動に影響を与える現象である,パブロフ-インストゥルメンタル転移(Pavlovian-to-Instrumental Transfer: PIT)を再現することをシミュレーションにより確認した.さらに,提案モデルはパブロフ条件づけ,インストゥルメンタル条件づけそれぞれの典型的な現象も再現した.この結果は,我々のモデルがパブロフ条件づけとインストゥルメンタル条件づけの学習メカニズムの候補である可能性を示唆している.
ディープラーニングとは脳の仕組みを模した多層ニューラルネットワークにおける機械学習の仕組みである.近年の計算機の進化との相性が良いこともあり,画像認識や音声認識などで従来法を大きく上回る性能を示している.ディープラーニングの多くは古典的な逆誤差伝播法を用いており,超大規模化が困難という問題があった.これに対して,私たちは先行伝播法という全く新しい学習法を提案した.手本を見せることによって正解を学習するというヒトの振る舞いにも似たこの学習法は,超大規模化にも適した特性も備える.
Low-frequency irregular neuronal firing occurs spontaneously in cortex. Such kind of internal noise is a fundamental characteristic of the local neuronal circuits. On the other hand, oscillations of neural activities are also widely observed in the same local circuits. Both the irregular noise and the oscillation are thought to play important roles in cognitive functions such as information encoding, binding, and selective attention. However, the mechanism which simultaneously realizes these two.
We propose a model to explain diverse features of motor learning in a unified way. The model assumes that the neural activity pattern is determined by the predicted movement error of an upcoming movement (prospective error). To validate this idea, we perform a behavioural experiment to examine the model’s novel prediction. Furthermore, we demonstrate that this model has a strong explanatory power to reproduce a wide variety of phenomena that have been separately explained by different models.
トラクトグラフィー法は拡散強調MRIデータを基に生体脳の白質線維束を再構築する手法であり、今日白質の発達や疾患などに関する様々な研究に広く用いられています。しかしこれまでの研究で、トラクトグラフィーの出力結果にはパラメータ選択依存性があることが知られてきました。この発表では、トラクトグラフィーにおけるパラメータ選択性を低減するため、アンサンブルトラクトグラフィー法という新たな解析手法を用いることを提案します。
与えられた観測時間が限られている場合,撮像回数の増加にともなって観測精度が低下するトレードオフ関係が存在する.トレードオフの問題を扱うため,与えられた観測時間を全て使って1枚の画像を取得するone-shot法と,観測時間を分割し複数枚の画像を取得するmulti-shot法の比較を行う.比較はマルコフ確率場(MRF)モデルを用いた画像処理の性能によって行う.MRFモデルのハイパーパラメータが既知である場合における画像修復に関して,解析解から2つの手法が等価であることを示す.一方,MRFモデルのハイパーパラメータ推定の信頼度に関しては,数値実験からmulti-shot法が優れていることを示す.